2015年9月14日

欲しい!と心が動く理由 

ここ数年、中学高校の同級生と会う機会が増えました。
私の出身校は毎年クラス替えがあった中高一貫教育なので、
同学年の人は、ほぼ同級生のようなもの。
母親業が忙しかった人は子育てがほぼ終わったこと、
仕事が忙しかった人は、最前線から少し引いてきたこと、
など事情はそれぞれですが、Facebookの影響も大きいかもしれません。

最近、同級生のFacebookグループでトレンチコートが話題になりました。
そこには、昔のワクワクにつながることがありました。

同世代だからわかることってある

私が使うもの、身につけるものの商品企画に、
同世代の意志や気持ちは入っているだろうか。
しばしば、そう思うことがある。
若い頃には気づかなかった不便、不自由、窮屈を感じるモノが多いからだ。

一方でモノに心が動く時というのは
「この商品企画にきっと同世代が関わっているんじゃないかな」と思う時だ。

昔々、夢中になったことには心が動く。

 「アクアスキュータムのトレンチ、買っちゃおうかなぁ」

同級生で作ったFacebookグループの投稿で賑わっていた。
9月1日からアクアスキュータムが『ベルサイユのばら』とのコラボキャンペーン「LOVE & and TRENCH」をスタートしたからだ。
このキャンペーンで、
オスカルとアンドレがトレンチコートを着用したビジュアルが展開されている。

昔々、「ベルサイユのばら」が大ヒット

私が中学生の頃、漫画「ベルサイユのばら」は大ヒットした。
ふだんあまり漫画を読まなかった私も、夢中で読んだ。
時代はフランス革命直前。
女だけど男として育てられたオスカル。
マリー・アントワネットに仕え、幼馴染みの男性に恋心を抱くオスカルは、
夢物語の中とは言え、私はとてもワクワクした。

今のアニメとは全然違う、目は星だらけの画風。
フランス革命をモチーフにしながらも、非現実的なストーリー。
私は特に漫画好きだったわけではなかったのに、
ベルばらの作家、池田理代子さんの顔だってちゃんと知ってるくらいなんだから。

「週刊マーガレット」で読んだ後、再び単行本で読み、
友だちの間では、やれオスカル派だ、アンドレ派だと言って大騒ぎしていた。




中学の時には、先輩が文化祭で劇を上演し、それにも夢中になった。

キャンペーン公式サイトのオスカルを見て、
私はそういうことが一気に思い出されたのだった。

さらに、「アクアスキュータム」と聞くと心がキュンとする。
なぜなら、
大人になって手に入れた憧れのトレンチコートが「アクアスキュータム」だったから。
いいものは長く着られると言うけど、
微妙に形は変わるので、やっぱり古びていった。
でもなかなか捨てるには勇気が必要だった1枚である。
今でも色や形、細部までよく覚えている。

ワクワクの記憶が、私の「欲しい!」を呼び起こす

今となっては、
「アクアスキュータム」は私にとって特に憧れのブランドではないのだが、
それでもオスカルやアンドレのトレンチ姿を見て、

 「アクアスキュータムのトレンチ、買っちゃおうかなぁ」

と、また欲しくなってしまうのだから、まさしく広告の狙い通りだ(笑)。

なんだか、昔ワクワクしたものに心が動くなんて、まるで老人のようで
自分でもちょっと苦笑いしてしまうのだけど、それでもやっぱり
昔ワクワクしたものの力は大きい。

この企画に、必ずや同世代が関わっているに違いない。

学生時代にワクワクしたものは、
同じ同世代と言っても、仕事関係の同世代よりも、
たぶん学生時代を共にした同世代の方が盛り上がる。
昔だったら日常的に会うわけではない学生時代の同世代では、
なかなか盛り上がりに欠けたかもしれないけれど、
今はSNSのおかげで、10年前よりもきっと盛り上がりやすいのではないか。

さてこのコラボキャンペーン、
公式サイトでは『ベルサイユのばら』のオリジナルコミックが公開されたばかりだ。
今月下旬にはオリジナルムービーも公開されるらしい。

もう一度『ベルサイユのばら』、読んじゃおうかなあ・・・。


全国の店舗にもコラボビジュアルが展開されるそうで、
私もお店に見に行っちゃおうかなあ・・・。
広告の思うツボだと百も承知だし、ちょっと悔しいけど、ね。

でも広告には、悔しくなるくらい思うツボだと思わせてほしいものです。