2010年12月5日

スジを通す

新たな分野の仕事を始める時には、たいていその業界やその分野に関連する資料を調べたり、関連する人を捜して話を聞く機会をうかがったりするようにしている。特に人の話を聞くことは、資料では計り知れないことがわかったり、裏事情をのぞけたりするので、大きな価値がある。
けれども、その業界や分野によっては、「人」にたどりつくのが意外と大変だったりする。というのも、「人」には“格”と言うのがあって、その“格”を無視すると面倒なことになるからだ(と思われる)。例えば、その分野の話を聞くには、まず誰に話を聞くかだが、ある人に話を聞いた後で他の人にも話が聞きたいとなる場合は、それぞれの“格”が問題になるのだ。はじめに聞いた人よりも“大物”に、あとから話を聞くわけにはいかないという場合が出てくることがある。まず聞くなら“大物”からで、“大物”から話を聞けなかったらその次の“大物”・・・という風に、スジを通さねばならない、とアドバイスをもらうことがあるのだ。
事情は推察できるので、私自身もその法則にのっとって動くようにはしている。けれども往々にして“大物”ご本人は、あまりそのようなことを気にしていないケースが多い。こちらの趣旨や目的が明確でさえあれば、とても気さくに話をしてくれたりする。そういうことを気にしているのは、ご本人よりもむしろ周りにいる人たちのような気がする。「○○さんをさしおいて・・・」ということなのだろう。
中に入る人や周りの人とも気持ちよく仕事を進める上で、スジを通すことは大事なことではあるけれど、それ以上に大事なことは、こちら側がどういう考え方で何のためにどんな話を聞きたいのかが明確であることだと思う。もちろん、ご本人に迷惑がかからないことは言うまでもない。