2012年3月26日

古くて新しい「手間をかける戦略」

ここのところ、私の中で気になっている言葉がある。
「惜しむなよ。やりすぎるくらいがちょうどいい、人間関係ってやつは。」
という言葉だ。

放映中のドラマ「最高の人生の終わり方~エンディングプランナー」(TBS)
の中の山崎努のセリフだ(苦笑)。

私は遺影に興味があり、ブログ「遺影について思うこと~自分らしく生きるために」を書いていることもあって、このドラマを放映前からチェックしていた。
そのブログの発展型新サービス、i-faceを2月に立ち上げたこともあり、関連情報として欠かさず見ていたドラマだった。

このセリフがずっと心に残っていて、仕事でも、そうでない時も、
いろんな時に私の心の声が、私にささやくのだ。
「惜しむなよ。やりすぎるくらいがちょうどいい。」

毎日の仕事をきっかけに、新たに出会う人は数多い。
直接仕事には関係なくても、いつどこでどんなふうにお世話になるかも知れず、そのたびにご縁を大事にしたいと思う。せっかく出会った方なので、できることならメールだけでも Thank you letterを出したいところだ。
それでも、日々の仕事の中で時間に追われていると、なかなか手が回らないことが多い。
面倒だと思うこともあるし、流れ作業のように流したり、場合によってはスルーして(何もせずに通り過ぎて)しまうこともある。
そこに心の声が「惜しむなよ」とささやき、でも忙しくてできないから仕方がないと言い訳してみたり、後ろめたさを感じたりして、それも私のストレスになるのだ。

そんなことを思っていたら、ブランド経営コンサルタントのメルマガ記事のタイトルが
手間をかける戦略」だった。

手間をかける、丁寧にコミュニケーションするということは、
今、古くて新しい「手間をかける戦略」・・・。
いかに効率的に進めるかを長いこと考えてやってきたから、私は過去の思考で、つい効率的でないことにストレスを覚えるのかもしれない。
しかし手間をかけるコミュニケーションは、今の時代だからこそ希少な戦略とも言えるのだ。
一般的な効率優先のスタンスでは、そんなことは誰もができることではなくなっているから。

さて私も、そういう視点に立てば、私自身のストレスも軽減できるかもしれない。


このコンサルタント、水野与志朗さんは、パーソナルブランディングのセッションを行うこともあり、私にとっては迷った時の羅針盤的な存在で、時々お世話になっている方である。
ちょうど上記のようなストレスを感じていた時に届いたメルマガのテーマだっただけに、やられた!と思ったというのが本音だ。

ちなみにドラマ「最高の人生の終わり方からエンディングプランナー」(TBS)は、既に3月15日に最終回を終えた。

私にささやく心の声のもと、ドラマのTBSに感謝することにしよう。

2012年3月13日

ストレスと向き合う意味

株式会社ビジネス・ブレークスルーが公開した「ビジネスパーソンのストレス意識調査」の結果が、フェイスブック上で多くの人にシェアされている。

この調査は、大前研一さんが主宰するビジネス・ブレークスルー大学で実施されている「問題解決力トレーニングプログラム」を受講するビジネスパーソンを対象に実施したものであるが、注目を集めたのは、Yahooニュースのタイトル「年収1000万円を超えると、仕事のストレスが減少」の影響も大きいのだろうと思う。

そもそも年収が増えるとストレスが減るというのではなく、高年収のビジネスパーソンは主体的に仕事する人が多く、仕事内容やスケジュールを自分でコントロールできるケースが多いから、結果的にストレスが低いと解釈する方が自然だ。
ストレスの主な原因が
「仕事内容を自分でコントロールできない」(49%)、
「会社の業績が思わしくない」(34%)、
「社内の人間関係がうまくいかない」(27%)
ということをふまえても、そう思う。

また別の側面からは、ストレスの耐性の強さもあるのではないかと思う。
というのは、年収が高くなるにはそれなりの努力や苦労があるわけで、そういう努力や苦労を繰り返していく中でストレスに強くなっていくことがあるのではないか、と思うのだ。

誰もが同じ指標を持たず(持てず)、成長が約束されるわけもない今の時代。
価値観は人それぞれだし、正解があるのかどうかもわからず、仮にあったとしても正しいことは一つとは限らない。どこに向かって進むのかの答えは自分でみつけるしか方法はなく、それを考えられないことは、結果的にストレスにつながっていく。

ストレスは心だけの問題ではなく、体にも危険サインを出していく。
いろいろな病気の遠い原因として、ストレスが挙げられることは珍しくない。
腰や首が痛かった人が、ストレスと向き合うことで痛みが緩和することもよく聞く話になりつつある。

先行きは確かに不安ではあるけれど、自分の人生を自分でどう切り開くのか、それを考え続けることが、ストレスを減らす(鈍感になれる)ことにつながって行くように思う。

2012年3月6日

「働く」という意味

「会社は何のためにあり、社員は何のために働くのか? それは仕事を通じて世の中に役に立つためだ。」
これは、資生堂副社長の岩田喜美枝さんの言葉である(2012.1.5読売「日本あれから 幸せの座標1回目)。

昨年12月から、私は知人からの依頼がきっかけで、「自分のキャリアを考える勉強会」を数回主催した。
私自身は、元々は本来キャリア形成の専門家ではないが、長年働いてきた中で、結局のところ自分自身の働く意味を曖昧にしていると、どんなに働くことが好きであったとしても、働くことが苦しくなる時期にぶつかる、という実感があった。もちろん、その「働く意味」というのは人によって百人百色。
誰もが自分自身の意味を考えることで、イキイキと働けるはず、そうすればイキイキと生きていけるはず。
私はそう考えて、各々が自分で納得できる回答を探したりみつけたりするための勉強会のプログラムを考えたのだ。
構成してみたら、それは、「働く」ことには限らず、「生きる」ことを考えることに近くなった。
自分が「働く」という意味は、自分がどんな時に満足感を得るのか、幸福感を得るのか、ひいてはやりがいや生きがいを感じるのか、ということに大きく関わってくるからだ。

その勉強会では、「キャリア」を必ずしも「報酬を得る仕事」とはとらえず、「あらゆる活動」と定義づけた。ボランティア活動も家事も含むいろいろな活動だ。
自分に何ができるか、周囲は自分に何を求めるか、
それまでの自分の人生を振り返り、自分の価値観を改めて確認する、
他の人とどこが違うのかを認識する・・・
勉強会では、各自がそんな作業を、いろいろなきっかけを与えるワークを通じて繰り返す中で、自分が働く意味や、これからどういう働き方をすることが自分にとって心地よいかを探す、どう生きて行くかをみつける。
漠然と思ってはいても、なかなか深く考えることのないテーマだ。

勉強会のスタート時には先が見えない不安を持っていた人が、その不安の本質を発見し、自分の目標を設定していく様子が、まさに目の前で展開されていった。
おかげさまで、毎回終了するたびに参加者からはご好評をいただいたが、私自身も得るものが大きかった。
とは言うものの、私はこれが本来の専門ではないのでいったん終了するが、自分自身のためにも、この勉強会は年に1度くらいは開催していこうかと考えている。

価値観の多様化、自分らしさを大事に、などは世間でよく言われることではあるが、それを自分の問題にして具体的にどう対応するのかが実に難しい。
今の時代は、これをつかめないとなんとなく幸せじゃない気持ちがずっと続いてしまうのだと思う。
この状態は、個人にとって不幸なことはもちろんだが、その個人がやりがいをもって働けない状態であることは産業界にとっても不幸である。
さらに、そういう状態を解決したり、道筋を見つけるきっかけにできるような、研修事業ではない「何か」がこれからの時代の新たな商品として生まれないだろうか?と、私は考えてみたりする。
より多くの人がイキイキと生きていけることにつながるようなことが商品化されれば、世の中の幸福度も上がるのに・・・・
今回スタートした「アイ・フェイス i-face 」も、私の思いはそこにつながっている。

最後にその新聞記事にあった、印象的な言葉をいくつか紹介する。
「最近のキャリア教育のせいか、今の若者は、自分が役立っていることを確認できないと不安になる。上の世代に甘えと受け取られてしまう。」「働く意味を考える若者は、仕事への意識が高いとみることもできる。意欲を引き出し、若手がチャレンジできる機会を増やして行ければと思う。」(関西学院准教授、鈴木謙介さん)
「後に何かが残り、誰かが元気にする仕事がしたい」(元IT関連会社勤務38歳女)
「社会や人から感謝される仕事がしたい」(日本生産性本部・客員研究員の仕事に対する考えを聞いた質問で、96.4%とトップ)
「この3~4年で、出世よりも社会に役立つ仕事を望む学生が増え、震災でその傾向が加速。日常的な仕事も社会に貢献していることをなかなか理解できない面もある」(立教大キャリアセンター部長)