2012年6月13日

機会ロス

私は、日常的にどうもバタバタしていることが多い。
仕事も忙しいし、趣味も楽しみたいし、遊びたいし、友達とのおしゃべりも楽しみたい。
家庭のこともあまりおろそかにしたくない。
現実はそんなことは不可能でどれも中途半端になってしまうのだが・・・

そんなこともあって、目的のないショッピングに出かけることは稀だ。
普段からショッピングに時間をかけることもあまりなく、結果的に衝動買いが多くなる。

そんな私でもショッピングは楽しい。
ウインドウショッピングであったとしても、だ。
仕事の途中などでも、ちょっと時間が空くとファッションビルやデパートにフラッと立ち寄ることがある。
先日、仕事中にデパートに立ち寄った際に、気になる商品をみつけた。

特設コーナーで展示されていた商品だった。
安価な素材のものだったので価格的にも買いやすい価格、そこで初めて見たブランドで色や形をもう少しじっくり見たいと思ったが、時間があまりなかったことに加えて、店員さんが声をかけてきたので、結局それ以上見ることなくその場を離れることになった。
帰宅後、その商品について気になってきた。
ネットで調べ、やはりあの場ですぐに買えばよかったと後悔し始めた。ネットでも買えそうではあったが、実物を見ながら選びたいと思った。
その商品が身につけるものだったので、実際に身につけた感じ、色や大きさなどのバランスや重量感など、確認したかったのだ。
3日後、実物を再確認した上で買おうと決めて、時間をやりくりしてデパートに出かけた。
すぐその場で買わない場合は、そのままになることが多い私としては、とても珍しいことだ。
ところが、その商品があったはずの売場には、全く別の商品が並んでいた。
聞いてみたら、「昨日までの期間限定商品でした。」と言う。
残念だった。力が抜けるほどがっかりした。
ネットで探せば買えないこともないけど、身につけた感じや感覚的なことはなかなかつかめないだろうと思った。
今後、実物を見られる売場があるのかもわからない。

機会ロスというのは、こういうことを言うのだ。
デパート側から見たら、これこそが機会ロスだ。
言葉は丁寧に説明してはくれたものの、要は販売していないわけで、メーカーにとっても機会ロスだ。

どんなに丁寧に説明されたとしても、 客にとっては、ほしかったものが手に入らない・・・これが結果だ。
その店で販売終了は仕方がない。例えば売り切れも仕方がない。
でも、「ではどうしたらいいのか?」という道筋が何かしら示されればよかったのかもしれない。
例えば、そのメーカーの名前や連絡先の案内、よく似た商品の売り場案内、など。

いやいや、その場で手に入らなければ、そんな案内をされても残念な気持ちがおさまることはないだろうか・・・。
消費者心理としては、どうだろう。
私は、紙1枚でもいいから、その商品のメーカー連絡先(URLなど)がわかるような資料を手渡すことができれば、その商品はもちろん、期間限定販売していたデパートへの信頼感も向上したのではないかと、残念に思った。


2012年6月6日

視点、受け止め方、考え方を変える

人生は山あり谷あり。
誰だって、いい時もあれば悪い時もある。 

電車中吊り広告で、5月21日発売のAERAの「“「第1志望」落ちたから今がある」の見出しを見た時、私はとてもそそられた。
振り返ってみると、私も第一志には進めなかった経験が多く、その昔、母は私のことを「あなたは運が悪い」と同情していた。 中学受験で第一志望がかなず、大学受験で第一志望がかなわず、就職で第一志望がかなわず・・・。
実際には運ではなく実力の要因が大きくかなわなかったのだが、結果的にはそれがかえってうまく転んでいることが多いような気がする。つまり第一志望に落ちた運のよさとでも言えるかもしれない。 そのおかげで今がある、と今、しみじみ思っている。
特に受験や就職などは、まだ自分の志向や方向性がわかりもしないのに、間違った思い込みで設定した第一志望を設定するケースもあるのだろう。
私自身のその後の人生から見れば、第一志望ではなかった環境に身をおくことで得られたことは、とても大きかったように思う。
第一志望失敗経験者としてAERAに掲載されている人は、ノーベル化学賞受賞者の田中耕一さんや、ベンチャー企業育成や投資を行うKlab Venturesの長野社長など、私などとは比較するのも恐れ多いことではあるが、ちょっとした考え方や受け止め方と、その後の意識で変わって行くことがあることを教えてくれた。

時期を同じくして、ブランドコンサルタントの水野与志朗さんのメルマガ記事でも、ハッとすることが書かれていた。
美大出身でプロダクト・デザイナーとして活躍していたご友人が事故で怪我をし、絵も描けなくなったご友人が、その事故を契機に、経営や、安全に働ける環境、労使関係に関心を持ち、今、労使協調をしながら経営について話す場でイキイキと活躍されているという。 
悪いこと、悲しいこと、残念なことが、人生にしばしば訪れるのは、なかなか避けようはない。 けれど、それを生かすも殺すも本人の視点次第だと、改めて気づかせてくれた。 
6月2日の朝日新聞土曜版beでは、アメリカで成功したソース王、吉田潤喜さんの言葉「運命っておもろな。視力を失わなければ米国に来ることも、必死になってがんばることもなかった。後から考えると全部ラッキー、全部感謝や。」を掲載していた。
つい先日、還暦直前の女性と、打ち合わせの機会があった。
彼女は、去年念願の起業を果たし、社会のために自身が開発したアクティビティを、これから広めていこうと考えている。
いよいよこれからというこの時期に、彼女自身に健康的な不安要素がいくつか出てきて、これから検査だというが、近々に講演依頼も入っている。
まずはせっかくの仕事のチャンスだから講演はきちんと対応し、検査はその後になるよう予約したという。そして、
「検査前の不安を経験することができた。イメージと経験は大違い。これがきっと何かに生きるでしょう。検査の結果はどうなるかわからないけど、もし病気がみつかれば病気の人の気持ちがわかる。」
と語り、私は心底驚かされた。 

本人の視点、受け止め方、考え方・・・ そして、それをどう未来に生かしていくか。 簡単なことではないが、これができると、仕事も人生も、ぐっと輝いていくに違いない。常にこうありたいものである。

2012年5月24日

中高年の起業意識、アメリカの調査から考えた日本人の意識

前回、60歳以上の人の本音は、実は仕事をしたいが環境的に難しい、という人が多数派だと私は思い込んでいたのだが、実際は、仕事をしていない人の半分以上は、仕事をしたくないという調査結果があり、私としては、小さな驚きを覚えたことを書いた

でも、アメリカの事情は少し違うようだ。 アメリカでは、55歳以上の起業活動が活発だという。
2010年の新しい起業家の23%は55歳から64歳の年齢層だ。1996年には15%であったことから、 高齢の起業家が増加しているのがわかる。
その記事によれば、年齢を重ねてきたことで、間違いを含めて多くの経験をしてきたこと、 専門知識が蓄積されていること、そして資金があること、等が、 高齢者の起業メリットとして上げられているのだ。 多くの人は新しいことに挑戦することに対して意欲が高いと伝えている。 
日本の60歳以上がそこまで積極的だとはイメージしてはいなかったものの、 私は、日本も多少はそういう傾向があるのかな、と思いこんでいたのだ。
 今まで日本経済を引っ張ってきた人たちは、内心、それまでの仕事がつまらなかったのか。 仕事を卒業した60歳以上には、仕事なんかよりも、他にやりたい明確なことがあるのか。 
私だって、多少はくたびれているし、仕事以外にやりたいこともある。 でも、それだけではなく仕事だってしたい。 仕事を通じて、多少は世の中や人の役に立てることもありそうだし、 仕事で充実感を得られることもある。 
多くの日本人は、すっかりくたびれてしまったのではないだろうか。。。。 私にはなんとなくそう思えて、ちょっと寂しい。ほどほどでいいと言う若い人が増え、中高年もくたびれている人がもしも多いのだとしたら、今のグローバル時代と言われる世の中、なかなか厳しいのでは?と思ってしまう。

データで見る限り、働きたくないから仕事をしない、というのは、全体から見れば2~3割程度なので、そう憂慮するほどのことではないのかもしれない。 実際、私の周りの中高年女性は意外と元気だ。多数派ではないものの、起業熱の高い女性は少なくない。 日本の60歳以上だって結構すごいよ・・・そんな姿を確認したいのは、誰よりもこの私なのかもしれない。 素敵な先輩諸姉を目指したいと願うから。

2012年5月14日

中高年の「働きたい」「働きたくない」、私のイメージとは少し違う

厚生労働省の中高年齢者に対する継続的な調査「中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)」の第6回調査結果(2012年2月発表)によれば、60~64歳の高齢者のうち、仕事をしていない人は4割近く。
その理由としては「仕事をしたくない」がもっとも多く、半分以上を占める。
そして、「仕事をしたい・準備中」は、1割強。
そんなものか・・・が、私の感想だった。
私自身のことを考えてみると、後進に道を譲ってだんだんとフェイドアウトしていく定年という会社のルールは、どうも自分に馴染まない気がしていた。
後進にはどんどん道を譲りたいが、それは新しい道をどんどん開拓したいからに他ならない。
ルールというフェイドアウトではなく、終わり方や終わる時期は自分で決めたいと思っていた。
だから、定年よりもずっと早くに、「退職」という道を選び、いろいろなことを始めたいと思ったのだ。
そんなわけで、60歳以上の人の本音は、実は仕事をしたいが環境的に難しい、という人が多数派だと、私は思い込んでいたのだ。

もう少し読み進めると、
女性は「仕事をしていない人」の7割が「したくないからしていない」。
男性とは13.6ポイントもの差がある。
そもそも60代の女性は、男性より仕事をしている率は低く、
「仕事をしたくないが、(仕方ないので)仕事をしている」人の比率も低いという。
ここで言う「仕事」には家事は含まれないので、彼女たちは「家事に専念したい」、もしくは「もう十分家事も含めて働いたから、これからはゆっくりしたい。」ということのようだ。

考えてみれば、この世代はクロワッサン症候群の直前、少し先輩の女性たちだ。
女性の仕事と言えば、勤め人の場合は、まだ公務員と教師以外はなかなか自己実現しにくく厳しい時代だったのかもしれない。
元々そういう経験者でもない限りは、自己実現的な仕事のイメージが描きにくいことも想像できる。
環境問題などで、ボランティアや社会貢献意識が高い女性は少なくないが、
ペイを得るものではないので仕事ではなく、仕事イメージが膨らみにくいのだろう。

特に女性の仕事の場合は、その人の生きた時代によって環境が大きく変わるため、意識やイメージはぐっと変わるのかもしれない。

60代の仕事、「働くこと」について、次回も書いてみようと思う。

2012年5月7日

PRを改めて考える

PRは、広告とは明らかに違う効果や価値がある。
ネタによって、タイミングによって、広告のようなコストをかけずに、予想以上の大きな効果を上げることがある。
だから、広告やPRを生業としてきた私としては、PRを仕掛ける場合はPRの反響後の受け皿の準備の必要性を同時に説いてきた。
PRがうまくいった場合の反響は、とてつもなく大きいことがあるからだ。
そうでないと、機会ロスになるばかりか、信用は信頼を一瞬にして失う可能性すらあるからだ。

大企業であれば、人員も豊富だし関係部署も関係各社も多いので、反響が大きかった時にはすぐに手を打つことができるため、反響を心配するよりもいかに大きな反響を獲得することが何よりも重要なことになるだろう。
けれども、信用第一の小さな企業にとっては、大きな反響は命取りになりかねない。
大きな反響が出て体制整備が間に合わずに信用を失ったり、機会ロスを回避するために体制整備の投資をした後に反響が落ちたり、対応が悪くなったことでそれまでの大事な得意先が逃げたり・・・・、さまざまなリスクがあるからだ。
ネタやタイミングによっては、PR効果は瞬間風速的な作用にしかなり得ないことがあるのだ。
事前にしっかり体制整備を、受け皿作りを、と言うのは簡単だが、PRは広告と違って必ず露出されるものではなく予想以上に反響が低いこともあるわけで、小さな企業にとっては難しいところだ。
その企業にとって、そのPRが将来的にも効果的であるかどうか、そのPRによって価値を得るであろうお客様(ユーザー)に今も将来も不満を与えてしまうことがないかどうか、というところが大事な視点になると思う。

だからPRは、身の丈にあったやり方でやらなくてはいけないと思う。
どうも、爆発的にマスメディアに紹介されることが最良とされる傾向があるが、それが必ずしも正解とは言えないと思うのだ。
特に中小企業は、PR活動を始めると大々的に露出されることを望む声が強いが、瞬間風速的なPR効果の場合は要注意だ。
知名度アップは期待できるが、それ以外の大事なものを失っては元も子もない。
PRを活動をするのならば、企業にとっても、顧客にとっても、満足度の高いPR活動であってほしい。
PR関係や広告業界側から見れば、露出が多ければ成功、露出が多すぎるPRを心配するなんてあり得ない、笑われるような話かもしれないが、やはりPR効果はうまく使わなければならないと私は思うのだ。
小さな企業は、身の丈に合ったPR活動をじわじわと行いながら、少しづつ話題性を高め、企業側は並行して足腰を強くしながら体制強化を図り、信頼を高めていく。

・・・そういう地道な成長を、私自身もしたいと思うし、クライアントにもそうあってほしいと私は思うのだが、スピードが重視される今の時代、そんなのんきなことを言っていては時代に取り残されてしまうのだろうか。