2012年5月7日

PRを改めて考える

PRは、広告とは明らかに違う効果や価値がある。
ネタによって、タイミングによって、広告のようなコストをかけずに、予想以上の大きな効果を上げることがある。
だから、広告やPRを生業としてきた私としては、PRを仕掛ける場合はPRの反響後の受け皿の準備の必要性を同時に説いてきた。
PRがうまくいった場合の反響は、とてつもなく大きいことがあるからだ。
そうでないと、機会ロスになるばかりか、信用は信頼を一瞬にして失う可能性すらあるからだ。

大企業であれば、人員も豊富だし関係部署も関係各社も多いので、反響が大きかった時にはすぐに手を打つことができるため、反響を心配するよりもいかに大きな反響を獲得することが何よりも重要なことになるだろう。
けれども、信用第一の小さな企業にとっては、大きな反響は命取りになりかねない。
大きな反響が出て体制整備が間に合わずに信用を失ったり、機会ロスを回避するために体制整備の投資をした後に反響が落ちたり、対応が悪くなったことでそれまでの大事な得意先が逃げたり・・・・、さまざまなリスクがあるからだ。
ネタやタイミングによっては、PR効果は瞬間風速的な作用にしかなり得ないことがあるのだ。
事前にしっかり体制整備を、受け皿作りを、と言うのは簡単だが、PRは広告と違って必ず露出されるものではなく予想以上に反響が低いこともあるわけで、小さな企業にとっては難しいところだ。
その企業にとって、そのPRが将来的にも効果的であるかどうか、そのPRによって価値を得るであろうお客様(ユーザー)に今も将来も不満を与えてしまうことがないかどうか、というところが大事な視点になると思う。

だからPRは、身の丈にあったやり方でやらなくてはいけないと思う。
どうも、爆発的にマスメディアに紹介されることが最良とされる傾向があるが、それが必ずしも正解とは言えないと思うのだ。
特に中小企業は、PR活動を始めると大々的に露出されることを望む声が強いが、瞬間風速的なPR効果の場合は要注意だ。
知名度アップは期待できるが、それ以外の大事なものを失っては元も子もない。
PRを活動をするのならば、企業にとっても、顧客にとっても、満足度の高いPR活動であってほしい。
PR関係や広告業界側から見れば、露出が多ければ成功、露出が多すぎるPRを心配するなんてあり得ない、笑われるような話かもしれないが、やはりPR効果はうまく使わなければならないと私は思うのだ。
小さな企業は、身の丈に合ったPR活動をじわじわと行いながら、少しづつ話題性を高め、企業側は並行して足腰を強くしながら体制強化を図り、信頼を高めていく。

・・・そういう地道な成長を、私自身もしたいと思うし、クライアントにもそうあってほしいと私は思うのだが、スピードが重視される今の時代、そんなのんきなことを言っていては時代に取り残されてしまうのだろうか。