2010年2月10日

Made in Japan神話は大丈夫か?

今週は、キリンとサントリーの合併破談、トヨタのプリウスリコール問題と、日本の産業界のビッグニュースが広がった。どちらも衝撃的なニュースだ。
キリンとサントリーは、当初から社風がこんなに違う会社が一緒になって、どうやって仲良くやっていくのだろうか?と興味深かったが、結局統合比率の問題から破談になったようで、「どうやって仲良くなっていくか」を見ることはできなくなった。
さて、気になるのはトヨタのプリウスリコール問題である。
私が愛読するメルマガでは、ビッグスリーの更生中であるアメリカの意図を指摘していた。確かにトヨタ側の問題も否定できないものの、そのような国レベルの意図が働くというのは、トヨタにとって悩ましいことである。
さらに気になるのは、このニュースが世界的に大きく発信されていることである。日本を代表する製造業、トヨタのリコール問題だ。それが世界中に配信されるのである。ニュースに接して一般消費者は、「あのトヨタが・・・!」と思うだろう。
ファッションも、雑貨も、車も、日本製の商品は高い価格帯で販売されている。中国の富裕層からは強い支持を得ている。それは「Made in Japan」はしっかりしたモノづくりをしていて、安心・安全な商品であり、高級品だから、というイメージがあるからだ。特にアジア諸国に広がる「Made in Japan」に対する信頼と憧れ。日本ブランドができあがっているのだ。このイメージが、日本の製造業を代表するトヨタのニュースをきっかけに崩れていきはしないだろうか。
今や農産物に至るまで多種多様の業界製品が、「日本ブランド」でアジア市場に高価格帯の商品で商売をしている。私の関係するクライアントさんも、そのブランドに支えられてアジア市場で健闘している。
「日本ブランド」の財産とも言える「憧れ感」は、一朝一夕で築けるものではない。トヨタ1社のニュースが(ホンダのニュースも出始めたが)、日本の製造業全体に影を落とすことがなければいいが・・・と、私は危惧するのである。