2011年2月14日

働き女子の苦悩

私が仕事を始めた頃は、雇用機会均等法施行の直前だった。当時は女が男同様の環境で働けるのは、教師に代表されるような公務員くらいで、一般企業ではほぼありえなかった。女が男のような仕事をしたければ、ひとつづつ勝ち取っていくものだった。一方でそれがモチベーションにもなっていたような気がする。「この仕事がしたいから・・」「私を認めてもらうために・・・」そう思いながら、与えられる以上のことを一つづつ勝ち取って行ったような気がする。
雇用機会均等法から20年以上が過ぎ、目に見える男女差別は今では違法だ。セクハラも市民権を得た。けれども、時代が変わっても働き女子の苦悩は、やっぱり続いているようだ。
私自身は、「男」とか「女」とかを仕事に持ち込むことをあまり好まない。そういうエクスキューズをしたくないとも思っている。けれども、私は頑張っている働き女子には多少弱いようで、多少の“えこ贔屓”もあるかもしれない。それは、その昔の自分自身に重ねてしまうからかもしれず、応援せずにはいられない気持ちもある。
もっと生き生きと働きたいと願い、オンナの個性や視点を仕事に生かしたいと願いながらも、悶々とする20代30代の働き女子たち。なんとなく雑務が押しつけられ、酒席ではホステスのような扱いを受ける。例えば取引先との酒席には必ず若い女子社員が呼ばれる。女子社員のテーブルには氷と水が置かれ、出席者のお酒を作るのは彼女の役割だ。そういう酒席が頻繁に行われる。出席への要請は上司から直接言われるので、異論を言う空気などない。今後も平穏に仕事を続けるためには、黙々と従うのが一番よい、大事な取引先だし、これも仕事だと頭では理解してはいるのだが、「気持ち」は納得できていない。
「こんなことをするために仕事をしているわけではないのに・・・」
「なんでこんなことをしなくてはいけないんだろう・・・」
この気持ち、オトコにはわかるまい。比較的フェミニストな男性であっても、意外と気づいていないようだ。
昔は、“仕事を勝ち取るため”という大義があり、オンナは自分自身を納得させることができた。けれども今の働き女子は、どうやって自分を納得させたらいいのだろう。。。鈍感力の強い人はそれをスルーできるだろうが、そうでない人には大きなストレスになって、これが少しづつ蓄積していくのだ。
男女平等とか、セクハラが違法とか言われ、時代の流れで表に出にくくなった分だけ、苦悩は闇に埋もれて行く。
できることなら無用な戦いなどせずに、働き男子諸君が、女子のそういう思いに自ら気づいてくれるのが一番だ。そのためにも、女子は、働き男子ならではの苦悩をも理解しながら、女子の苦悩を気づいてもらう処世術を、なんとかうまく身につけてもらいたいと私は思う。