2012年1月17日

元気な大人増加を目指したい

年末の掃除をしていたら、1999年頃の新聞記事スクラップが出てきた。
10年以上も前の記事だが、見返していて気になるコラムをみつけた。
1997年から朝日新聞でスタートした吉沢久子さんの「老いじたく考」。
当時から、高齢者向けの市場拡大や介護市場の有望性などはよく語られていた頃だった。
そういう中で、吉沢久子さんが介護の話題を老人の立場で聞くと、長生きしては申し訳ない気分になる、と書いていたのだ。
吉沢久子さんご自身が、介護の社会化が必要とかつて考えていた当人であったが、それは介護者の立場であって、老人の立場に立ってみると申し訳ない気分になる、と。「これでは元気に生きる気持ちも萎えてしまう」と書いていた。
吉沢久子さんご自身は、現在93歳。
20年以上前、既に家事評論家として大変ご活躍だったが、今現在も明晰に暮らし、執筆や講演をこなすようで、現役そのものだ。

私の関係する広告会社の営業マン。
今の時代、ただの広告営業でだけでは仕事などとれないからと、次々新しいことを仕掛け、まったく異なる業種の人に多種多様な相談をし、「いやぁ、勉強になる!」と言いながら営業活動を続けている方がいる。既存取引先への積極的な新提案だけでなく、新規取引先へも次々と飛び込み営業も行うその営業マンは、現在80歳を超えているが、お洒落な着こなしで背筋がピンとしたカッコよさだ。

こういう大先輩がいる、ということ自体が、私に勇気を与える。
そういう大先輩に、私は頭が下がる。心から尊敬するし、ワクワクする。
自分も少しでもそういう風になれればいい、と思う。
日々がんばろう!という気持ちになる。
凹んでなどいられないと思う。

それは、20代から見た40代や50代や60代・・・
40代から見た60代や70代や80代・・・
素敵な大先輩がいることは、自分自身の目指す将来をイメージしやすいし、それをめざしてがんばろうと思うのではないだろうか?


だから私は、ちゃんとした大人、元気な大人がいる、ということは社会を元気にすると思うのだ。

中小企業白書のデータによれば、2002年の起業希望者141万人に対して、2007年は101万人。この間には、ライブドア事件があった。ベンチャーの星、ホリエモン(堀江貴文氏)が逮捕されているのだ。彼は、起業を目指す人にとってわかりやすい目標であったはずで、彼の逮捕によって目標が分かりにくくなったのだと思う。

だから、多種多様な元気な大人が増えれば増えるほど、その下の世代にとって多種多様な目標が描きやすくなるはずだ。
けれども、現実はどうだろう?
年を重ねることで、しょぼくれたり、夢や希望をなくしたり、人生を諦め、どうでもいいと思ったり、何事も先送りにしようとしたり・・・そんな人も多く存在することも否めない。

でもそれは、就職難だから、若者に仕事がないから~と、後進に道を譲らざるを得ないことも影響しているだろう。
若者が活躍することが評価され、世代交代していくことが是とされる今の時代。

もちろん一理あるとは思うけれど、私は道を譲っても現役から退かない先輩が好きだ。

今、10年以上前の吉沢久子さんの新聞記事「長生きしては申し訳ない」というフレーズに触れ、介護問題に限らず、仕事を含めた生き方において、もっとワクワクしたり使命感を持つなど、熱い思いで前を向いて生きていくのをそいでしまうような論調が行きすぎてはいないだろうか?と気になった。それこそ「これでは元気に生きる気持ちも萎えてしまう」。
もちろん、そんな論調に負けないくらいの強さがあればいいのだが。

やはり、私自身は前述のような大先輩のように生きていきたい。
一方で世代など関係なく、大先輩も若い人も関係なく交流し続けたいと思う。
できれば自分が作った道は、どんどん後進に譲り、そしてまた新しいことに挑戦する、という形を目指したいと思っている。