2014年11月15日

大人数でクライアント企業を訪問するのは、NGサインだった

クライアント企業への提案で訪問する際に、大人数でやってくる会社、それをズラズラ病と言うのだそうだ。
各部署が連携して作業を進める提案の場合、どうしてもそれぞの部署の人がズラズラ来ることになるのだ。

ズラズラ病は、組織がかかっている病いの一つなのだという。
厄介なのは、
病いに罹っていることを組織や本人が気づいていないことだというのだ。
耳が痛い会社がきっと多いに違いない。

10年以上前、会社員として営業部門で働いていた私は、
クライアントからのオリエンテーションというと、
上司、そしていくつかの関連部署の人たちを何人も連れて訪問し、
メンバーで一緒に話を聞くように心がけていた。
そしてプレゼンとなればさらに大勢で訪問し、
営業の私はできれば黒子でいたいと思ったし、
各担当が自分の担当分を説明するように意識して促した。
それがいいこととされていたように思うし、私もそう思っていた。

特に相手が大企業であればあるほど、
大きな仕事、大きな予算であればあるほど、そういう傾向があった。
しかも、担当営業としては、どれだけの人を巻き込めるかというのが、
自分の力の証でもあったと思う。
これがコンペになれば益々それに拍車がかかった。

言ってみればそれは、
我が社は、これだけのスタッフが御社のために力を尽くしますよ。 」
という表明でもあったのだ。
私の勤務先は大きい会社ではなかったので、
後方支援体制がしっかりしているであろう大手に負けないことを見せたいという思いもあった。
また、連れて行くメンバーに対しての、暗黙の「よろしくね」「頼むよ」という
メッセージでもあったと思う。

果たして今はどうしているだろう。
私が会社を辞めてだいぶ経つので、
今の会社の風土がどうなっているかはわからない。
もちろん当時、私はそれを「病気」と思うわけもなく、
ズラズラをいいことだと思ってやっていた。

なぜ「ズラズラ病」が病いなのかというと、全体を把握し大局感を持ちながら、
かつ個々の内容や技術の大枠を適切に答えられる人がいないからだという。
こういう企業と仕事をすると、発注側の手間が増えるから、
つきあわない方がいいと言うのだ。
「ズラズラ病」企業は、きっとそれに気づかないまま、
全体把握のできる人を育てられず、そのうちそれが当たり前になっていくのだ。

たしかに、昔、大勢を連れてクライアント企業に行った時のことを思い出すと、
一人で行く時に比べて状況把握のアンテナが鈍くなっていたような気がしなくもない。
本来、多少能力不足であったとしてもそれを最大限活用しようとするところを、
大勢を連れていくことで無意識の中で甘えてしまうこともあるかもしれない。

大勢で行くことを是としている企業は、
自社の病いに気づかないままどんどんズラズラ病が進み、
その弊害も進んでいき、結果的に個人の成長も止まってしまうのだろう。

思い起こせば、
実際、大勢連れて行っても最初から最後まで一言も話さない人もいるし、
場違いな雰囲気を醸し出したり、
うっかり不勉強であるこを露呈させてしまったりと、
却って逆効果になることも度々あった。

時代は変わり、どこだって形式よりも本質を求めるようになってきた。
全体を俯瞰する力、相手目線でものを読み取る力は、
これまで以上に求められるようになってきた。
そういう強い個人の集合体が、強い組織である。

組織は個人を信じる。
個人は足りないところを自覚しつつも精一杯がんばる。
個人は自分を信じる。頑張る。

そんなことがやはり大事なんだろう。