2015年1月21日

いまの20代女性が「老後が不安」と訴える理由

就職を悩んでいる20代の女性に会う機会があった。

忙しい職場で、身も心もヘトヘトになって辞めて1か月。
これからの就職について大きな不安を抱えていた。

その大きな不安が、「老後」なのだと言う。
まだ20代の女性だ。

そんなことを考えても仕方がないと頭では分かっているのだが、
それでも、介護報酬の引き下げ決定、生活保護の引き下げ検討・・・
新聞ではそういうニュースがどんどん出てくる。

働かないと年金が出ない。
正社員じゃないと厚生年金がない。
私は将来どうなってしまうんだろう?

そういうことが不安でたまらないのだと言う。
私の20代の頃をふり返ると、考えられないことだ。

私が20代の頃、世の中はバブル景気の終わり頃だった。
バブルがはじけた後も、その状況がわからないままだったように思う。
当時の私にとっての将来の不安は、恋愛がうまくいくかどうか、自分が結婚するのかどうかがメインで、あとはせいぜいボーナスの金額や会社の人事くらいのものだったような気がする。
それが私にとっては大問題だった。
当時の私は、自分自身の老後など考えようとしたことすらなかった。

先々を考える、考えない・・・どちらがいいのかはわからないが、
まだ20代の女性が、これからいろんな可能性が広がっているはずの女性が、
その可能性を考えようとするときに、「老後が不安」でたまらない思いで就職先を探そうとしているのを見て、心が痛んだ。

要介護高齢者の厳しい状況や高齢者の貧困、介護難民、孤独死・・・
若年者の就職難民、派遣と正社員の給与格差、ワーキングプア・・・
そういうニュースが夢や希望を奪っていくのだろう。

高齢者の問題は高齢者だけの問題ではないことを感じる。
高齢者が明るい未来が想像できる社会は、40代、30代、若者にとっても明るい社会になる。
明るい未来がイメージできなければ、夢や希望に向かって頑張ろうという活力は出てこない。

それは若者だけではない。
私の世代や団塊の世代にとっても、明るい80代、90代が見えなければ、今があまりに切なくなる。

上の世代は下の世代への責任があるとよく言われるが、
それは、自分自身が自分の子どもへとつなぐだけでなく、ちょっと下の世代へとつなぐためにも。

カッコいい先輩が増えることは、社会の活力になる。
誰もが、下の世代に対してカッコよくありたいものだ。
ずっとそう思い続けてきたが、「老後が不安」な20代の女性の話を聞いて、その思いはますます強くなる。




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