2016年1月6日

死生観は意味があるのか、ないのか。

「終活」という言葉が流行語大賞にノミネートされたのは2012年のこと。
葬儀やお墓、相続、看取り等、人生の終末まわりの情報を目にする機会が、
ぐっと増えてきたように思います。
本来、そこで問われるべきことは死生観ではないでしょうか。
私は今までずっとそう思ってきました。
けれども1年くらい前から、本当に死生観は必要なのだろうか、と思うようになったのです。

私が命の終わりについて考えるようになったきっかけ

そもそも私自身はもともと命について考えるタイプではなかった。
ただ、どんな人も年齢を重ねれば重ねるほど
イキイキと生きていける世の中であればいいのに、そういう社会づくりに寄与したい、
・・・と漠然と考えていただけだったのだ。

ところが、数年前に義父が重篤な病気になり、
その際、医師から

 ご本人の人生観、人生哲学に照らし合わせて
 家族でよく相談して治療法を選択するように。

と言われる場面に立ち会ったのだった。

人生観?人生哲学?
そんなもの、どれだけの人が持ち合わせているのだろうか?

死生観なんて考えたことない

篠田桃紅さんは、1913年3月生まれでもうすぐ103歳。
まずは美術家でおられるが、多数のご著書も出している。




当時まだ103歳にはなっていないはずなのに、タイトルに103歳と入るのは、
出版社の陰謀に違いない(苦笑)けれど、
103歳になってわかったことを伝えてくれるなんて、すばらしいことだ。
こういう方がいらっしゃると、未来に希望を抱ける。

美術のことはよくわからないので、
篠田桃紅さんの栄誉ある業績については私は何も語れないけれど、
篠田さんがテレビで語っていた言葉は私にとっては衝撃的だった。

 死生観なんて持ったことはない。
 なるようにしかならない。
 死ぬことを考えるなんてナンセンス。

ナンセンス・・・?!
本当にそうだろうか。

100歳を超えるまでしっかりたっぷり生きてきて、
今なお現役で芸術を追求されている方の言葉だからこそ、説得力がある。
だけど・・・。

死生観ってなんだろう?

人は死んだらどうなるのか? 〜人によっていろいろ考え方があるだろう。

 死んだら終わり

 肉体は滅びても魂は次の肉体に宿る

 星になる、空から見ている

 心の中で生きている

こういう考え方そのものを死生観という人がいる。

そこまで直接的でなくても、
宗教観に近いものと捉えている人もいるかもしれない。
私自身は、命について考えること、どう生きたいかを考えることが
死生観の始まりだと思うようになった。

若い頃はそんなこと考えたこともなかったけれど、
生きているということは、
本来そういうことを考えながら年を重ねていくということだと、今、思っている。

なぜなら年を重ねていくことは、死に向かって進むことでもあるからだ。

それは意識してかどうかは別にしても、
家族や身近な年長者と関わりながら、
あるいは身近な死の経験を通して自分なりに考えていくものなのだと思う。

だけど効率化を優先する今の時代、
時間的にも空間的にも気持ち的にも余裕がなくなってきた。
家族の形が多様化し、年を重ねること、死に向かっていくことを考える機会は
激減している。

だから、私たちはふだん「死生観」など考えもしないのだけど、
それで本当にいいのだろうか。

篠田桃江さんは、長く生きてきて
美術家として今もお元気で活躍しているから、そんな風におっしゃるのではないかしら。

一般の人はそうそういつまでも元気ではないし、
自分自身がそうそう強くないし、
晩年までそうそう活躍し続けることは難しい。
だから・・・

死生観に意味があるかどうかをもう少し考えてみよう

私が生きざまがにじみ出た顔つきに興味を持ち、
その集大成ともいえる遺影に興味を持ち、
エンディングノートや終活に関心を抱くようになって以来、
私は死生観とは何か、親の死生観、自分自身の死生観を考えてきた。
その意義もそれなりに感じてきたが、
篠田桃江さんの言葉で原点に戻されてしまった感があった。

そんなときに

生命の終焉を考える
~ヒトらしく生きるために必要なこと~

を見つけて、昨年から通っている。

命(いのち、生命)に思いを馳せると、自分らしく生きられるはず。
高齢になってからではなく、40代・50代だからこそ余計意味を持つ。
・・・私が漠然と抱えていたその思いに、今、一つ一つYES!をもらっているような感がある。
今週末はその最終回を迎える。

2016年の今年、考えたいこと、お伝えしたいことはさらに広がっていきそうだ。
本年もどうぞよろしくお願いします。


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