2015年10月22日

「愛と仕事が人生のすべて」は、今も昔もきっと変わらない

そんなに映画をよく見るほうではありませんが、ロバート・デニーロは私が好きな俳優さんの一人です。

外国の俳優さんと言えばずーっと昔から好きだったロバート・デニーロ。
今、72歳。
今上映中の「マイ・インターン」は、デニーロの魅力満載です。


http://wwws.warnerbros.co.jp/myintern/

オープニングで出てくるフロイトから引用した言葉

 「愛と仕事が人生のすべて」

そしてマイヤーズの言葉

 「人生で目標をもつことと、評価されることは、
 愛し愛されることと同じぐらい基本的に必要なことだと思う

は、ここ数年の私のテーマそのもの。
う~ん、たまりません。
ぜひ多くの人に、それも同世代や先輩世代に観ていただきたい1本です。

寂しい、やることがない

この映画の主人公は、優しい夫と可愛い子どもがいる幸せなママで、家庭のキッチンで思いついたことをきっかけにアパレル会社を起こし、急成長させた成功者。
アン・ハサウェイ演じるその女性社長、ジュールスの心のうちがテーマなんだけど、私はその会社にインターンとして入社し社長付になった70歳男性、ベンの言動に、オープニング早々で私は釘付けになってしまった。

ロバート・デニーロ演じるベンは70歳。
愛妻と死別し、会社を退職後、いろいろやるけれど、寂しさがつのる。
時間をどうつぶすかが問題だと感じていたとき、偶然みつけた求人票を頼りに仕事をしようと思い立つのだ。

男性が会社を卒業して失う三つ、それが
 ① 行くところ
 ② 会う人
 ③ やること
というのは、以前このブログの「『シニア男性の引きこもり」から気づく、心がけのポイント」でも書いたことがあるけれど、まさにそういう背景からこの映画は始まる。

人生経験は、必ずどこかで誰かの役に立つはず


わがままな中高年や、よからぬ一部の人のせいで、最近はどうも中高年の悪評を耳にする機会が多くて残念な限りだけれど、それでも、
そうそう、どんな人でも生きてきた分だけ必ず経験豊富。
そんな人生経験は、最大のチカラになるはず。
それはきっと、どこかで誰かの役に立つはず。
そうしなくてはもったない。

・・・私はずっとそういう思いを抱いていた。
ずいぶん前から。

それが「キャリア」という考え方だと知ったのは、ここ10年くらいのことだ。
広告業界で長く生きてきた私は、会社員時代に管理部門経験がなく、そこに私の勉強不足も加わって、「キャリア」という考え方をそれまで知らなかった。
組織で生きている中で経験的にわかったこと、考えていたことが体系化されているのが「キャリア理論」だったと知ったのは、20年以上の社会人経験の後だった。

それでも、ずっと人生経験は力になるはずと思っていたのに、
肝心の諸先輩方でそういう風に思っておられる方が、私の周りにはあまりいないように見えた。
若輩者の私が気づかなかっただけかもしれないが。

今、自分自身が50代半ばになり、人生経験は大きなキャリアであるとの思いは、かつて自分が若かった時よりも強くなった。
反面、それが仇(あだ)になっていると感じるときもある。
私自身も会社を辞めて以来、自分の力になるはずの経験が、垢になってしまったのではないかと、自己嫌悪に陥った。
それも一度だけではない。
何度も何度も。

でもやっぱり、そうやって自己嫌悪に陥る気持ち自体も大事な経験。
その気持ちを知っていることが、どこかで誰かの役に立つこともあろう。
キャリアそのものである。

生きてきた時間はすべてキャリアになる

私が会社を卒業し、次に何をやろうかと考えていたとき、
一番に思ったのが、年長者がイキイキと輝ける社会づくりに何か寄与したいということだった。

少子高齢化、体力減退、どうも年をとることが好ましくないような風潮に風穴が開けたかった。
なぜなら、私自身が素敵な先輩から元気をもらえるから。
魅力的な先輩の存在は、私自身の希望でもあるから。

今、100歳の元気な人を見れば、80代、90代の人が元気をもらえる。
60代で頑張っている人の様子は、私たち世代の
そして私たちのありようは、30代40代にきっと影響していくに違いない。

とは言え現実は、楽しかった現場仕事を若手に移譲していく。
長く会社員をやり重責を担い、自負を持っていても、会社の中での役割が変わっていく。
そこに、健康への不安、家族問題、さまざまな将来への不安。
以前のようにイキイキとはいかず、なんとなく萎れていくのも仕方がないとは思う。

だけど、年長者であれば、イキイキしていることだけで後輩の力になることもある。
この映画の中のロバート・デニーロは、そんなことを再確認させてくれる。