2009年8月17日

嗜好の変化

食べ物に対する人の嗜好は、変わってくるようだ。
年齢によって、志向する味が変わるのはもはや常識だが、そういうことではなく、「おいしい」という概念自体が変わってきているような気がする。
たとえば牛肉―。
霜降りで口に入れるととろけるような味わいの銘柄黒毛和牛は、その生産者たちの努力の結果、国際的にも「WAGYU」と呼ばれ、日本の食文化を代表する芸術品だ。その味わいは、甘みやコクなど、均一に入っている脂のおいしさである。
しかし今、料理人たちの間で注目されつつあるのは、赤身のおいしさだ。脂(あぶら)が少なくてもおいしい赤身自体が持つうまみなどのおいしさ。その正体は脂ではなくイノシン酸などのアミノ酸だ。
人はまず空腹が満たされ、おなかがいっぱいになることを求め、その後は甘いことやカロリーが豊富なものをおいしいと感じるようになり、結果的に油や脂のおいしさを求める。それが満たされると次に求めるのはうま味になるのではないかと思う。うま味は油や脂のおいしさに比べて、そのおいしさが非常に繊細だし、味に敏感な人ほどそれを感じるものだからだ。
わかる人にはわかる(=わかる人にしかわからない)という味わいが、自己満足にもつながることで、ますますおいしく感じさせるのではないかと、個人的には考えている。
さらに、世の中の健康志向やダイエット志向などが反映され、健康的なものをおいしいと思うようになっているのかもしれない。今後は、よりエコなものなどをおいしく感じるようになる、などの変化が起きて行くのだろうか・・・?