2010年9月8日

仕事がないのは景気のせい?

景気低迷の時代と言われるが、一方で人手が足りないという話も耳にする。
あるデザインプロダクションも、手が足りないのでデザイナーの求人活動をしているそうだが、採用に至る人に出会えないと言う。それなりにいい仕事の経験に恵まれ、十分なキャリアがある人がたくさん応募してくるにもかかわらずだ。
そのプロダクションの代表が言うには「うちでは戦力にならないから」。
時代がどんどん変化し、社会の仕組みも志向も嗜好もどんどん変化している。例えばデザイナーでも、大事なのはデザインが上手いかどうか以前に、、「今」を踏まえてどう表現するのかが重要になってくるのだ。過去の実績や経験が優れているとしても、それをどう今に生かすか・・・。
それが企画力や構成力につながってくるはずなのだが、大きい仕事ではスタッフ数も多く、意外と個人が「考える」ことを多少おろそかにしても、進んで行く。その蓄積の結果、新しい「今」をどうとらえ、どう構成して表現するのかが見えなくなっていくのだ。
今、景気低迷の中で、仕事が減っているのは確かなことかもしれない。実際、広告業界は確実にパイが縮小している。けれども、そういう時代だからこそ、(今までになかったような)新しい仕事の可能性はたくさんあるし、小さくても化けさせることも可能になってきたのだと私は信じたい。
前述のプロダクションに応募してくるのは、大きな仕事を経験してきた40歳前後のベテランデザイナーが多いそうだが、採用に至らない人たちに共通して言えるのは「今、仕事がない(=少ない)のを景気のせいにしている」ことだそうだ。
デザイナーに限る話ではない。仕事がないのは不景気のせいではないし、不景気のせいにしていては仕事なんて益々なくなって行く。プロダクションの人の話は、どんな仕事をしている人にも言えることだし、私自身も大いに共感と反省をする機会になった。