2012年11月1日

石原さん「心ワクワクドキドキだよ」

石原都知事が、辞職した。
晴々とした顔で、楽団の演奏するロッキーのテーマに見送られていく映像がニュースになった。

私が新卒で会社に入った頃、会社の平均年齢は27歳。最高齢の社長も40代だったと思う。
部長も、課長も、今思えば若かった。
新米のヒヨッコだった私も、会社に長くいることで年を重ね、部長も課長も平社員もそれぞれ少しづつ昇格しながらも、社員は少しづつ高齢化していった。
入社2~3年の頃、アグレッシブで尊敬していた先輩社員が、10~20年という時の経過とともに、どんどん精彩を欠いていった。
そればかりか、後ろ向きな発言が少しづつ増えたように感じたし、打ち合わせをしていても、なかなか議論がかみ合わなかったり、陳腐なアイデアが出てきたように感じたこともあった。
それが、元々とても尊敬していた人、優秀だった人、アグレッシブだった人でも、そうなっていくのがときどき目についたのだ。

人は年を重ねると、そうなってしまうのだろうか・・・。
漠然と感じる、年を重ねることへの不安。
なぜそうなるのか。どうしたら、そうならないのか。
私にとっては、自分自身が年齢を重ねることへの恐怖にも近い感覚だった。

「勉強しないからだよ。」
年の近い先輩がそう言ったことがある。
時代を感じようと学ばないから、力が失せて行くのだろう、と。

サラリーマンの場合、ある程度の年齢を超えると、自分自身のポジション等、将来が見えてくる。
会社の中での自分自身の夢を抱けなくなってくることも影響してくるのかもしれない。
会社の先輩の中でも、力が失せない人だって存在したのだから、要は本人次第ということなのだろう。

石原都知事が辞任の時に、「寂しくないですか?」と聞かれたインタビューで、
「全然! 次の仕事に向けて、心ワクワクドキドキだよ。」と答えた。
今、80歳だ。

将来に向けて、心ワクワクドキドキ。
石原さんの好き嫌いは別にして、この感覚は素晴らしいと思う。
そして、今、80歳の石原さんがこう語ることは、それより年若の者に対する叱咤激励にも写る。

天皇陛下の心臓手術を執刀した天野篤さんは、
「心臓外科医はいつも新しいことに挑戦し、常に前進していなければならない。」と語っている(朝日新聞 10月27日)。

さあ、私は今、ちゃんと前進するか。
将来に向けてワクワクドキドキが続いているか。

いつの時代も、本来、年長者は年若の目標であってほしい。
年長者の生き方を見ることで、○年後の自分をイメージしやすいから。
80歳の石原さんの言葉は、70代はもちろん、それ以下の人の力になる。


私自身も、できることなら私より年下の人から、「目標だ」と言われるように生きて行きたいものだと思う。
もちろん、私よりもはるかに優秀な人は年下にいくらだっているのは百も承知の事実だけれども、それが仕事とは限らず何かの部分で、例えば暮らし方、遊び方、どんなことであっていい。
そうありたいものである。