私の携帯(ガラケー)には万歩計アプリがついている。携帯を持ち歩くだけで1日何歩歩いたか、どれくらいエネルギーを消費したのかが一目瞭然だ。万歩計を携帯する手間もいらず、時々確認する。
かつてはどんなに少なくても5,000歩はクリアしていたのに、この1年は50歩にも満たない日がしばだ。これはさすがにまずいと思い、短時間の筋トレ中心女性専用クラブに入会した。
メンバーはどちらかといえば中高年女性が中心。70代、80代も少なくない。顔見知りになっておしゃべりに興じる人も相当数いるし、きっと仲間作りで来ている人もいるのだろう。
でも私の場合は、まじめに運動不足解消。基礎代謝を上げて筋肉をつけねばと思うので、周りの人ともほとんど喋らず、体を動かしたら即、帰る。
でも私の場合は、まじめに運動不足解消。基礎代謝を上げて筋肉をつけねばと思うので、周りの人ともほとんど喋らず、体を動かしたら即、帰る。
そんな時に、60代と思しきメンバーに声をかけられた。
「来てみてどうですか?変わりましたか?」
「さあ、どうですかね〜。肩こりがへったくらいかしら。」
私は素っ気ない応対をしたところ、彼女は5年以上継続しているという。、
「そう?!それはよかったですね〜。運動すると少しづつ変わりますものね。」
と言い、さらに続けた。
「それに年齢が重ねるとね、だんだん子どものこと、家のこと、親のこと、たくさん抱えていた問題が一つづつクリアになっていくんですよ。
片づいたり、乗り越えられたり、知恵がついたり。
そしてだんだん自分のことを一番に考えられるようになる。
自分の時間も持てるようになる。
これが年をとるってことだなあ、と。
あなたはまだお若いからわからないかもしれないけど、私はこの年になってようやく、年を取るっていいことだなあと、最近しみじみ思うんですよ。」
若いと言われることなどあまりない私は少し驚いてしまったが、彼女の言葉を聞いて、私も嬉しくなった。
しかもその彼女はとても素敵な顔つきをしていたのだ。
自分より年上の人が活躍するのを見ると元気をもらう、勇気をもらう。
そんなことは前から私が言っていたことでもあるし、わかっていたはずなのに、改めて清々しい思いがした。
それは私がどこか、仕事に偏って考えていたのかもしれない。
特別な人じゃないとそう思えないんじゃないかとどこかで思っていたのかもしれない。
特別な人じゃないとそう思えないんじゃないかとどこかで思っていたのかもしれない。
でも普通の主婦として家族のためにずっと生きてきたであろうその人が、そう語ることにこそ、とても価値があるように思えた。
普通に暮らしている普通の人が「年を取るっていいなあ」と思えることはとても幸せなことのはずだ。どんな人からもそういう言葉を聞けるような社会であればいいのに、と改めて思う。