2016年4月17日

インフォームドコンセントはもう古い?! お医者さんから聞く説明



自分のカラダのことは自分が一番よく知ってる。

自分のカラダは自分で守らないと。

いろいろなことが言われますが、治療方法に対する考え方や感覚は、
ここ数年で大きく変わりました。

それによって、今までの当たり前が、当たり前ではなくなっているわけで、
この感覚についていくのはなかなか難しいものです。

医療のことはお医者さんしかわからない。

例えば風邪なのか、アレルギーなのか、喘息なのか、
診断するのはお医者さんです。
かつて、患者はシノゴノ言わずに、
お医者さんの言うことを信じるのが当たり前、という時代がありました。

治療法についても、お医者さんが決めてくれます。
信じてさえいれば、何も心配はいりませんでした。
患者は診てもらう立場で、どっちが偉いかって、そりゃあお医者さんです。
患者はまな板の上のコイ、そのもの。
誰もが「先生にお任せします!」と言うのが当たり前でした。

しっかり説明してくれる「インフォームドコンセント 」

たぶん昔はあまり表面化していなかったであろう医療過誤や医療事故。
ニュースになることが多くなり、
患者が医療に疑問を持ち、訴える事件が多くなったことも、
きっと影響しているのでしょう。

医療現場では、必ず患者やその家族にしっかり説明し、
患者(その家族)に納得、了解してもらってから、治療を始めようという動きが
出てきました。
それがインフォームドコンセント
訴訟社会のアメリカから来た流れだそうです。

お医者さんも、患者やその家族が話をわかるかどうかは別にして、
とにかく説明する。
患者とその家族は「話を聞きました。」の了解の証、サインをする。
この流れを完了しないと、治療をしてもらうことができません。
わかっているかどうかは、二の次と言えるかもしれないくらい。

よくわからないけど・・・とりあえずOK!

「話を聞きました。」の了解サインって、今のネット上の「同意する」と似てますね。
だって、とりあえずそれをOKしないと前に進めないんですから。
わかる人、納得する人はきっとちゃんと理解してサインするのでしょうが
なかなか理解するのは難しい・・・です。

選んでください

医療や薬の進歩は、今まで無理だったことが可能になることもあります。
喜ばしいことです。
だけどどんどん進歩して、次々と新しい治療法が登場すると、
答えは一つではなくなってきます。
治療法によっては、その分、カラダやお金や時間に負担が増える場合も出てきました。

その結果、「きっちり説明する」インフォームドコンセプトの次の流れは
選んでください」でした。
そう、インフォームドコンセント改め、インフォームドチョイスです。

いろいろな治療法があるけれど、それぞれにあるメリットとデメリット。
それを一通り説明してくれた上で・・・・

どれにしましょうか?

選んでください。

場合によっては、

あなたの人生観に照らし合わせてよく考えてください。

と言われることもあります。

自分のカラダのこと、自分の治療法のことだから、きちんと自分で選びたい。
メリット、デメリットをきちんと聞いた上で。
・・・そう思う人はきっと多いでしょう。

だけど誰もが選べるわけではありません。
私たちは選べるほど、そもそもその治療法について知っているでしょうか?
いくら説明を受けたとしても、どれくらい理解できるでしょうか。

選択肢がなければ選ぶ必要もないし、悩まないのに。

選択肢が提示されても、何を基準に選べばいいのか?
人生観に照らし合わせてって言われても、
人生観なんて考えたことがない人も少なくありません。
考えたことがあったとしても、やっぱり迷って悩んで苦しみます。

お医者さんが決めてくれればいいのに・・・

よくわからないけど・・・え~い!これでいこう!

そんな風に思う人は、きっとたくさんいるのではないでしょうか。

お医者さまにお任せしたくても、お医者さまは選んでくれない、
自分(たち)で選ばなくてはならない、というのは、大変苦しいことでもあります。

本人の意志を尊重する。

本人が選んだのだから仕方がない。

意地悪な見方をすれば、
インフォームドチョイスは医療者側の都合だとも言えます。
だって、自己責任だから。

心の準備なんかできない

今から30~40年前の病気の告知というのは、
患者以外の家族が診察室ではない別室に呼ばれて伝えられました。
本人に何て言おうかと家族が悩むこともありました。
映画やドラマで、そういうシーンはしばしば出てきました。
だからそういうものだと思いきや、今はまったく、全然違います。

今の告知は、熱が出て風邪かなと思ってお医者さんに行ったときに、
「インフルエンザですね」と言われるのと同じ。
ちょっと具合が悪いから病院に行き、検査を経て、いきなり
「ガンですね」と言われます。

1人で行くから、いきなり感はハンパなく、ボーゼン・・・!

治療法も同じ。
ボールはこちらに投げられる。

先生が示してくれると思いきや、「選んでください」と言われるわけで、
そんな風になるとは予想もしていないから、びっくりしてしまうのです。
特に昔々の「お医者さまにお任せします」が常識だった世代にとっては、
これは本当に難しい局面になります。

「知っている」と「知らない」は大違い

だけど今は、医療だけではないですが、
リテラシーが求められる時代になりました。知っていないと、不利益を被る。
医療を受ける側にも力が必要なのです。

医療を受ける側に課せられる姿勢が、こんなにも変わってきているのに、
患者になる私たち、患者の家族になる私たちは、
意外にその変化をよく知りません。
だって、病院や病気とはあまり縁がなかったから。
ずっと元気だったから。

自分が病気なる時、家族が病気になる時というのは通常突然のことですが
じっくりゆっくり検討し、考えるような時間は、あまりないのが普通です。

そういうとき、
「多少知識があること」、
「知識はないけど、考えたことがあること」は、
大きな力になります。

それについては気楽に相談できるような詳しい知り合いがいれば、
さらに大きな力になることでしょう。

「知っている」と「知らない」は、全然違います。

エンディングノートの中にも、医療についての項目があります。
たとえ何も書かなくても、それを見て
「考えたことがある」「家族と話してみたことがある」ことは
いざという時に大きな力になります。
それはやってくるかどうかわからない災害のための備蓄と同じ。

エンディングノートなんてまだまだ・・・

高齢者のためのものでしょ~?!

そう思っている人は多いけれど、
世代を問わず「知る」「考える」きっかけに、もっともっとエンディングノートが活用されればいいのに、と思います。



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