取材で、東京・品川にある食肉市場を訪れた。
そこでは、食肉用の牛と豚がセリにかけられている。ちょうど牛のセリのところをおじゃますることになった。
セリは、生体ではなく、枝肉になった状態でセリにかけられる。
枝肉とは、皮、頭部、内臓などを除去してから、これを中心線に沿って背骨のところから2分割した半丸状のもの。だから半身というのだが、半身ふたつが1対で1頭分だ。
上から吊るされた1頭分の半身(二つセット)が次々とやってくる。
枝肉には、どれも半身の一方の6番目と7番目の肋骨の間に切り込みが入っている。この切り込みから、肉の様子、つまり脂肪交雑や肉の光沢、しまりなどがわかるのだ。だから仲買人はその切り込みの間をじっくり見ている。懐中電灯で照らしてみている人も多い。
また、枝肉の表面には等級が刻印されている。A、B、Cの等級がある(それそれがさらに5段階に分かれる)のだが、吊るされている枝肉の刻印には、Aが多く見受けられる。
国産牛肉は、和牛と呼ばれるものとそうでないものがある。和牛は高価なので、数としてはそうでないものの方が、はるかに多いはずなのだが、実際にその日セリにかけられた品種を見ると、圧倒的に和牛が多かった。
聞くと、いいものは東京市場で売れる、東京市場でないと高く売れない、ということだそうだ。
中でも高級品は超高級品。肉だけで1人前程度の量で1万円以上は当たり前。おそらく高級料理店向けの食肉として流通していくのだろう。一般庶民の口に入ることなどありえない。
水産業界では、おいしいものは築地に集まる、と言われるが、食肉も結局は東京に集まるのかもしれない。
それにしてもこれを実際に召し上がるのは、一体どこのどのような方なのでしょう?!