2010年8月19日

中国の底力

元大学教授の恩師が4週間滞在したイギリスから帰国し、会うことになった。私が最近担当した仕事でお世話になったからだ。先生は御年70代中盤。大学をリタイヤ後、他の大学その他から数々の仕事のオファーがあったものの、今までにやりたかったけど忙しくてできなかったことをする時間に充てるためにほとんど断ったと言う。そのやりたかったことというのが語学の勉強だった。
先生はリタイヤ後、毎年この時期にイギリスのサマースクールに出かけ、語学勉強を軸にした寄宿舎生活を送っていらっしゃるそうだ。先生が参加するのは語学のクラスだが、そのプログラムは多岐に渡り、外国からの学生を受け入れるイギリスのサマースクールなので、世界各国から学生が集まっている。それが各国の経済事情と連動するようで、かつて参加者が多かった日本だが、今、日本人はめっきり少なくなったそうだ。その中で急速に増えているのがアラブ諸国だという。石油産出国だ。そういう国の学生はお金持ちのご子息が多いせいか、せっかく来ているのにあまり熱心に勉強しないと先生は笑ってらした。その次に多くなっているのが中国だという。しかも中国の人たちはとても熱心で、しかもとても英語が上手だそうだ。
ああ、ここでも中国か・・・。
私が現在接点がある20代前半の中国人にこの話をしたところ、中国国内でイギリスのサマースクールに行けるような人は、高級官僚かよっぽどのお金持ちでなければありえないだろうと笑った。おもしろいもので、中国共産党で国をこよなく愛していても、自分の子息には海外の教育を受けさせたいと願うのは、中国の中では当たり前のことらしい。20代前半の子が「自分に将来子供ができたとしたらやはり少しでも高い教育を受けさせ、経済的に可能であるなら海外に留学させたいと思うし、それは中国人の誰もが思うことだろう」と教育の重要性を語るのを聞いて、私は少しびっくりした。
その話をしてくれた中国人は、大学時代に日本語を勉強し、卒業直後に日本に住んでいる家族を頼って昨年日本に来てから、日本人と同じ土俵で就職活動をし、現在日本企業で働いている。。日本滞在1年なのに、日本人とほとんど変わらないくらいの日本語を上手に話し、英語も堪能で、しかも日常的に何事についてもとても勉強熱心だ。
元大学教授だった先生も、イギリスのサマースクールで、中国人の勉強に対する必死さは見ていて清々しいくらいだったとおっしゃっていた。
世界的にも目を見張るほど経済成長著しい中国だが、その背景にはこうした中国の人たちの教育熱と、努力をおこたらず勉強熱心さがあるからこそ成長しているような気がする。