先日、かつて勤務していた会社で後輩だった男と飲む機会があり、仕事観について話をした。
私は日頃、クライアントやパートナに対しての「愛」がない仕事はダメと公言している。一方で彼は「仕事に愛なんかいらない」とよく言っていたた。けれど、彼の仕事への姿勢や考え方は私とよく似ていたので、そのことについて私が彼に突っ込んでみた。彼の言葉によれば、それは「愛」ではなく「スキル」だということだったのだ。
「愛」ではなくて、クライアントに喜んでもらうための「スキル」。
「愛」という言葉の概念、捉え方が、私と彼と違ったようだ。彼が言うには、「仕事の上で喜んでほしい」というのは、個人的な感情ではなく、あくまでも仕事の上での話である。だからこそ、「愛」などという曖昧な言葉にはしたくない、仕事の上のことはスキルであるというのだ。ましてや、「人間力が求められる」などというのは、彼にとってあり得ない表現だという。なぜなら、本来人は、仕事だけでなく仕事以外の場面でさまざまなことがあるわけで、仕事のある一場面だけで問題があったとしても、それでその人が否定されるわけではない。「人間力」とか言ってしまうと、それはもはやその人を否定しかねないわけで、そんな表現は使いたくないし、それはあくまでも「スキル」であるはずだ・・・と。
なるほど。彼の考えを聞いて、私は妙に納得。そして、自分が情緒的でありすぎたことを反省する機会を得た。そう言えば、女はとかく情緒的、と世間では言われるなあ・・・などと違うことまで考えてしまった。
私にそういう思いをさせてくれた彼は、そもそも優秀なアドマンであるけれども、彼は、約10年前に私の部下であったこともある後輩だ。そういう人が自分を反省させたり納得させたり感動させたりする機会に出会うと、私はとてもうれしくなる。