書店の目立つコーナーに、酒井法子に関する本が高く平積みされていた。見れば、あの酒井法子がなぜ覚醒剤にはまったのか?を書いてある本だ。
発売時期順に「碧いうさぎの涙」晋遊舎(憲旺利之)、「酒井法子 隠された素顔」イーストプレス(梨本勝)、「酒井法子 孤独なうさぎ」双葉社(渡邉裕二)と、現在3冊出ている。ワイドショーだけにとどまらず、あれだけのニュースになった素材だからこそ、出版化は必然とも言えるだろう。もっとも後発なのが「酒井法子 孤独なうさぎ」双葉社(渡邉裕二)で、10月9日発売、初版が2万部で既に増刷が決定したという。出版不況の中、発行した出版社にとってはドル箱になるであろうことは間違いない。
いずれも保釈記者会見までの内容になっていることから思えば、企画から発売までで、正味わずか1か月前後しかかかっていないことになる。著者の梨本氏は携帯サイトを、渡邉氏はブログを書いており、素材がそろっていた※とは言え、かなりのスピード出版である。
このような話題は、何よりも旬が大事だ。旬を逃したら大きな機会ロスになる。だから出版を急ぐ必要があったのだろうが、それを2週間から1カ月でやり遂げることに驚いた。梨本氏自身も、企画からわずか2週間で本が出ることに自分自身が驚いたと、あとがきで書いている。
DTP~印刷技術が進んだことに加え、すさまじい機動力がこれを実現させているに違いない。大手ではない出版社だからこそできたのかもしれない。本を読む人が減り、本を読まなくなり、本が売れない今の時代、出版社の倒産危機の噂話もしばしば耳に入ってくる。それでも、今知りたい情報を、今すぐに届ければ、本はちゃんと売れるのである。
この「旬」を逃さないスピード化は、出版界に限らず、今のような不況の時代を勝ち抜くカギの一つになるのだろう。
※憲旺氏に素材があったのかどうかは未確認。