前回、スピード時代について書いたにもかかわらず、全く更新ができないまま2週間が過ぎてしまった。スピード時代と逆行したBlogになってしまった。日々の業務や雑事に追われる中で、ついつい遅れがちになってしまうのだが、「スピード時代」について前回書いていただけに、お恥ずかしい限りだ。
さて、今回は香港の女性について書こうと思う。
仕事の関係で、香港や中国の人と接する機会がある。仕事の話だけでなく、それぞれのお国柄や価値観、意識の話を聞けることが私にとっては興味深い。特に仕事関係の資料などではなかなか見えてこない“気持ち”に関わるテーマはおもしろい。
先日聞いた香港の女性の話によれば、香港の女性は仕事場に化粧をしていくことはないという。日ごろ化粧をしない、というわけではなく、仕事の場に「女」を持ち込まないということだそうだ。仕事はスキルを提供する場であるのだから、そういう場でお洒落をしたり化粧をしたりといった“チャラチャラしたこと”を持ち込む女性は、ちゃんとした女性から見ると軽蔑に値する、と言うのだ。だからと言って香港の女性がきれいにしないのかと言ったらそうではなく、香港の女性は恋人の前ではお洒落をし、きれいに化粧をする。「女」であることは彼の前だけでいいのだから、彼女はとさらりと言ってのけた。
香港の女性は、しばしば「強い」と言われる。実際、男を立てることもなく、カップルを見ていても、どちらかと言うと男が女の後をついているような感じだ。共働きは当たり前だし、仕事の上司やボスは女性のケースが多い。どうやら、その背景には環境的なものが大きいようだ。
香港では、かなり前から大体どこの家庭でもお手伝いさんがいるのが一般的で、妻(母)は家事をしないと言う。朝食からお粥などの外食も一般的だし、食事の宅配のようなケータリングも充実しているので、食事作りの必要がない。洗濯や掃除などの家事はお手伝いさんがやってくれるので、主婦(妻、母)の仕事として家事が必要ないのだ。子どもが小さい時は子育てもお手伝いさんが熱心にやってくれるので、母親は普通に仕事を続け、子育てというよりはスキンシップやコミュニケーションなどの愛情を注ぐことに集中すればよいのだ。
そう言えば、かつて私が香港に遊びに行ったとき、日曜日の公園がフィリピン人であふれかえっているのを見たことがある。フィリピンの人たちは皆、香港の人に雇われているお手伝いさんだそうで、日曜日はお休みなので、公園に集まるのだという話を聞いたことがある。
香港の共働き夫婦にとっては、お手伝いさんの費用は世帯収入の15%程度なのでそう負担もなく、女性にとってはストレスなく働くことができるのだという。そういう話をいろいろしてくれた彼女(香港女性)はまだ20代の独身で、今、日本と香港を頻繁に往復している。日本企業と仕事をする中で日本人の価値観や女性観、仕事意識をよく理解しているので、彼女は日本で仕事をするときはスーツを着て化粧をし、仕事場の男性をきちんと立てて仕事をしている。
国が変わると意識や価値観が変わる。円滑に仕事を進めていく上では、そういった価値観を踏まえてコミュニケーションをとらなければならないことを、彼女を見ていて改めて感じる。あらゆる場面で国境の壁がどんどん低くなる今、そういう意識を磨くことも見過ごすことができないはずだ。