2011年7月4日

厳しいからこそ!・・・節電だから盛り上がること

7月から本格的節電がスタートした。
節電だから産業界が縮小するなどとあちこちで言われているし、経済への影響は図りしれないとは思うが、節電だからこそ生まれる(盛り上がれる)需要を作ることもできる。
東京都内の自治体では、冷房の効いた集会所を「街なか避暑地」と名付け、多くの人に涼みに来てもらうことで家庭の消費電力を抑える取り組みを始めている。単純に、暑い時間に自宅にいないで公民館や図書館などに集おうというものなのだが、節電につながることはもちろん、都会で不足がちな近隣同士のコミュニケーションを深める効果も期待できる。新たな投資も不要だし、社会にとってもいい提案だと思っていたところ、それをさらに発展させて、新たな需要を生もうと言う企業の取り組みも始まった。
誰かの家(イエ)に集まって、仲間たちと一緒に楽しく過ごすことを提唱している「イエ会プロジェクト」。無料のメーリングリストサービス「らくらく連絡網」事業を手がけるイオレが実施している。
家に人が集まると楽しい、仲間と過ごす時間は楽しい、だから家に仲間を呼んで楽しく過ごそう、という提案だ。プロジェクトには企業の協賛もついている。
第1段は「がんばれニッポン!応援団!」。今、ひとりでいるよりも誰かと一緒にいることが安心できるし、楽しいし、それが日本を元気にすることにつながる、ということに加えて、誰かを応援しようという考え方だ。東日本大震災以降、絆の重要性が叫ばれているからこそ、今、大きな共感を得ることだろう。現在500万近いユーザーを抱える「らくらく連絡網」にとっては、さらなるサービスの認知向上や普及拡大にも寄与する。
最近増えているシェアハウス。私の知人は普通のシェアハウスをさらに1歩進めて、同居している者同士、互いに夢を語ったり悩みを聞き合ったり励ましあったりしながら、一緒に歩いていこうという考えを具現化したレイアウトのシェアハウスを今年はじめにスタートした。当初は入居者がなかなか決まらなかったが、震災以降に一気に入居希望が増えたと言う。やはり、「ひとり」でいることの不安や、絆を求める気持ちが高まっていることがわかる。
節電だからこそ始まる「イエ会プロジェクト」は、そういう社会の背景が後押ししている。節電など、経済界にとって厳しいことも、企画次第で新しい需要を生む。しかももっと「幸せ」になるための方向で。「街なか避暑地」は家にいる主婦を対象に、「イエ会プロジェクト」は若者を対象にした取り組みではあるが、他のターゲットでも新しい需要が生まれそうな予感がする。シチュエーションを変えるなど、次々に市場は作れそうだ。苦難や苦境があるからこそ、人は智恵を絞る。苦境や苦難は新しい商売を生むためのチャンスでもあるのだ。