2014年12月26日

好きなことをして生きていく・・・それは必ずしも絶対正解とは限らないと思う。

「好きなことで生きていく」・・・この言葉で検索すると、Gppgleなら124万件がヒットする。

有名なところで行けば、今年の11月に出た心屋仁之助さんの「『好きなこと』だけして生きていく」だが、いろんな人がいろんな形で好きなことをして生きていこう、と言っている。

その通りだし、そうなれれば幸せだ。
誰だって、できればそうありたいと思うだろう。
でも、誰もがそうできるわけではない、きっと。・・・私はずっと、そう思っていた。

そうできる人と出来ない人がいるんじゃないかと。
その違いはいったい何なんだろう?!・・・おぼろげにそんなことを考えてきたような気がする。

それは、ここまで格差社会が進んできた今、そんな呑気なことを言っていていいのだろうかという思いがあったから、という面もある。
食べることにいっぱいいっぱいで、就職もままならない人が多い今の時代に、そんなことしてたら本当に食べていけなくなる人だっているんじゃないか。
好きな仕事って?という話をしていた時に、そうできる人ばかりじゃないんだから!と、今から10年くらい前に叱られたこともある。

好きなことをして生きている人には、そういう能力が優れているからできるんじゃないか。
頭の回転が速く、理解力が高く、文章もうまい、・・・そういう人だから可能になっているんじゃないか。
私の周りで好きなことをして生きている人は皆、実際に能力が高いと思う。

それなのに、こんなにもあちこちで、誰もが好きなことをして生きていこう、という今の風潮は果たしてどうなんだろう?

それはまるで、かつてよく言われていた
「諦めなければ夢はかなう」
と同じように、甘い夢を見せてくれているだけじゃないのかと思わないこともない。
ハシゴをかけるだけかけて外すんじゃないの?!って。

しかも今のこの風潮は、まるで好きなことをして生きていかないやつはマヌケだと言っているかのようにすら見える。
本来なら、好きじゃなくても何かのためにこんなにもがんばっている、ということで満足している人もいるかもしれないのに。

私が言いたいのは、誰もが好きなことをして生きていくのがいい、という風潮は少し気持ちが悪いんじゃないかということだ。

そういう人もいる。
でもそうじゃない人もいる。
そういう考え方もあるし、そうじゃない考え方もある。
そうできる人もいるし、そうしたくてがんばってもできない人もいるんじゃないかな。
すべてを自分で決めるよりも、ある程度決められている方がやりやすい人もいる。

どれを選ぶかどうかは人それぞれであって、どういう形を選ぼうが正解はない。
周りがとやかく言うべきものじゃないし、ましてや周りにどう見られるかなんてどうでもいい。
どういう形を選ぼうが、きっと迷いもあるし、嫌なこともある。

そういう多様性というか、柔軟性があっていいように思う。
大事なのは風潮とか世相とかに流されず、自分のスタイルを求めることなんじゃないかと思うのだ。
自分のスタイルがわからなければ、自分のスタイルを探すことだ。
極端なことを言えば、生きている限り探し続けるのかもしれない。、

そもそも好きなことをして生きていくってどういうことなんだろう?!

私自身について言えば、たまたま好きなことをして生きてきた部類に入るのかもしれない。
でもそれは、最近よく言われる形とは少し違うと思う。

受験で失敗したと当時は思ったけど入ってみれば意外に楽しかったし、就職したのは第1志望ではなかったけれど、新卒入社した会社には結局25年も勤め続けた。
1年目の時は、こんな会社すぐに辞めてやると思っていたにもかかわらずだ。
別に辛い中で我慢強かったわけではない。
そりゃあ楽しいことこともあるし嫌なこともあったけれど、でも今になって思えば、総じて好きなことだったと思う。
特に辞める頃は、まさに私の好きな仕事だなとしみじみ思っていた。
でも「好きなことだけ」をしてきたわけではない。

私の場合は、自分のスタイルを求めるなど考えたこともなく、成り行きの泥縄式で生きてきた。
普通に会社員をやっていた結果だが、今になって思えば、その中で好きなことを探し、わずかでも見つけられた好きなことに価値を見いだせていたような気がする。
現状の中から、小さな「好き」を探すことだって、できるのではないかしら。

好きなことをして生きていこうという発信が多いのは、きっと多くの人がそれを望んでいるからだろう。

だけど今までをリセットして、いきなり好きなことの世界で生きていくなんてあるはずがない。
そういう好きなことは、きっと今までの人生があるから、それが土台になって好きなのだ。
身近にも自分では気づかない「好き」が転がっているかもしれないし、好きじゃないと思っていても後から考えれば意外に好きなことだった、と思うことだってあるにちがいないのだ。

まず好きなことをしよう!ではなく、自分が心地よい生き方かどうか。
自分のスタイルでさえあれば、それでいいのだと思う。


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