そのイベントというのは、サバイバルツアーだった。
電気もガスもない中で過ごす2泊3日。
トイレも参加者が自分たちで作る。
最高の贅沢は、満天の星空の下で入るドラム缶風呂。
そのお風呂も、錆びたドラム缶を洗い、川から水を汲み、薪で炊いて沸かす。
でもその背景には、企画運営を進めた地元の人たちの大きな努力がある。
参加するのは、首都圏、関西圏の10代20代30代40代の男女で、
友達同士は不可。全員が一人参加だ。
あっという間の3日間だったが、
参加者たちは最後には東京(大阪)に戻ってもまた会おう!飲もう!という話に
なって別れ、日常生活が始まってしばらくすると集まった。
集まれば、
3日間の思い出や世話を焼いてくれた地元の人たちの話題で盛り上がる。
また、初開催の参加者はの一部は、次年度開催の時には手伝いに行った。
その結果、毎年必ずOBが手伝いに行く。
このサバイバルツアーは毎年9月上旬に行われていたのだが、
内容はほとんど変わらない。
だから違う年に参加しても、あたかも一緒に参加したような気にもなり、
OB、OGがスタッフになって橋渡しをするので、どんどん仲間が増えていった。
1期、2期、3期、4期、5期・・・・
ちなみに私は3期。2期に夫がいた(当時は独身)。
1回参加者は一部例外を除いて約20名。
毎年回を重ねるごとに、仲間が増え、すぐに会報を作るようになり、
会費を集めるために会則や規約を作った。
会報作りでは定期的にみんなで集まり、手作業で仕上げ、印刷・郵送準備をした。
できあがった会報は、会員だけでなく北海道の人たちにも送った。
だから、その町が東京で北海道フェアに出店すると言えば、
みんなで手伝いに駆けつけた。
食材のおいしさや町のよさを、私たちは地元の人のようにお客さんに自慢した。
アルバイトを雇っていた周りの出店市町村とは大違いだった。
今の言葉で言えば、それはまさにコミュニティ。
当時、私がそのコミュニティのどこにおもしろさを感じていたかと言えば、それは、
メンバーの年齢が幅広かったこと。
仕事、職業がバラバラだったこと。
だけど、その北海道の町なり、サバイバルツアーなりに興味を持って、
自ら応募してきた人たちであり、「同じ釜の飯」とも言えるような、
その2泊3日を経験したという強力な共通項があった。
オトナになると、なかなか新しい友達を作りにくい。
家族以外のおつきあいが、狭くなりがちでもある。
つきあいのある自分の周りの人たちと言えば、仕事関係の人や、昔の友達・・・。
気づくと小さな世界だ。
似たような仕事をしてる人たちだったり、
ライフスタイルや考え方が想像できそうな人たちが多くなる。
場合によっては利害関係もある。
学生時代を一緒に過ごした昔の友達は気のおけない仲間ではあるが、
住んでいた世界は意外によく似ている。
自分と近い世界、似ている人たちの世界だけだと、
つい無意識にその中で比較して、得意になったり、うらやましくなったりすることもあるのではないか。
そのツアーは、予算と運営スタッフの事情により15期で終了したが、
仕事関係でもなく、学生時代でもないときの友だちがいる・・・ただそれだけで、
当時の私は、自分の中に余裕ができたような気になった。
きっと、何か大変なことがあった時に、
「私の場所はここだけじゃない。」と思えるからなのだろう。
それは実際に大変なことがあろうがなかろうが、
そう思えるだけで心に余裕ができる。
何より、一緒に遊ぶのが楽しかった。
いろんなところで、いろんな形でよく遊んだものだ。
自分の場所をいくつも持つこと。
私の場合は、それが意外に大事なことだったことに、今、改めて気づく。
あの仲間づくりを経験したから、今でも新しい仲間や出会いに貪欲になれるような気がする。
昨今、コミュニティが注目されているが、きっとそういうことなんじゃないかな。
コミュニティとは、きっと自分の場所づくり
勤務先だって、家族だって、友達だって、どれもコミュニティなのだけど、
自分にとって居心地のいい場所を一つだけでなく複数持てれば、
もしある場所で行き詰まったとしても、一時的に逃げ出せる場になる。
そんなことがなかったとしても、
そういう場があると思うだけで気持ちの余裕が違う。
言葉を換えれば、
それは違う顔を持てるかどうか、ということでもあるのかもしれない、
偶然にも、ウェルネス&ビューティライターのユウコさんが、ちょうど、週に1度別の顔を持つことがメンタル上も好ましいと書いていた。
遊びだけじゃない。
セミナー流行りで、今はあちこちでいろんな学びの場が増えている。
今年の私は意外とよく勉強していて(苦笑)、
学びの場で出会った人たちがたくさんいる。
新しい居場所が、少しづつ増えていくような予感がする。
世の中には、本当にいろんな人がいる。いろんな世界がある。
・・・そういうことを実感できる窓を持つこと。
そして、それだけじゃなく自分自身もいろんな顔を持つことが、
今の時代に自分が心地よくいるためにも、きっといい方法なのだと思う。
その方が、きっと人生は楽しい。
少人数で和気あいあい。まじめで楽しいクラスです。