今や医学が発達し、いろんなことがわかるので、そこで何も見つからない方が奇跡なくらいだ(苦笑)。
それでも一般人にとっては、そこで何か言われることを晴天の霹靂と感じる場合も少なくない。
何かが見つかるということはお医者さんにとっては日常茶飯事なのだろうけど、言われる方はそうでもないということだ。
私が子どもの頃、テレビドラマの中でガンが告知されるシーンは、家族だけが別室に呼ばれて、実は・・・と言われるものだった。そして、本人に告知するかどうかについて、お医者さんと家族が相談するのだ。
それはもはや余命宣告されるようなものだった。
しかし今は違う。
早期発見できるし、医学の進歩で治療法もいろいろあるし、治る病気になりつつある。
エンディングノートには、病名について告知してもらいたいかどうかを答える項目があるけれど、現実は本人のそんな気持ちなどお構いなしだ。
今はいつもの診察室でスルッと告知される。
言われた方にしてみれば、なかなかその衝撃は大きい。
いくら病名告知を希望する人であったとしても、だ。
ましてや告知を希望しない人はどうなんだろう。
今の時代、お医者さんは普通にガン告知するのがデフォルトだが、患者側は必ずしもそれがデフォルトと思ってはいない。
告知しないでほしい、という希望など受け入れられない。
かつては、知る権利が守られないことがしばしば議論になったが、今、知らされない権利は守られることはない。
お医者さんはすべてを話し、治療法の選択肢を提示して、あなたの人生観に照らし合わせ、家族ともよく相談して、決めてください、とボールを投げるのだ。
確かにそれは正しい方法だと思う。
自分のカラダのことなんだから、自分で知っておきたい。治療法は自分で選びたい。ーーそれが望ましい形だ、ときっと誰もが言うだろう。
だけど、いくらそれが早期発見であったとしても、何の前触れもなくそう言われて、果たしてどれくらいの人が冷静に話を聞き続けられるだろうか。
お医者さんの話を理解できるだろうか。
途中で頭が真っ白になることなく、冷静に選択肢を考え、治療法を選べるだろうか。
ましてや、ガンと聞くだけで余命宣告に近いイメージを抱く世代はどう思うだろうか。
検査結果を聞く時にはできるだけ1人で行かないこと、
家族だったら、1人で検査結果を聞きに行かせないこと、
以前、終末医療に携わる看護師に聞いたことがある。
つい先日、家族の検査結果を聞く機会があり、私はその看護師の言葉を思い出して付き添いとしてついて行った。
どんな結果になるかはわからなかったが、病院で受付した際に(診察前に)、本人が神経質であること、何事も気にしやすく気に病むタイプであることをあらかじめ伝えてみたところ、受付が担当ドクターと連携をとってくれた。
検査結果は芳しいものではなかったが、さまざまな配慮をしてもらえたことに、私は今とても感謝している。
それができたのは、ガン告知を受けた家族がガン専門病棟に治療で通う時に毎回付き添った経験があったことが影響している。
その病院でいろいろな相談をし、数々のアドバイスを受けたからだ。
病院がどんな体制であるのかも経験的に知る機会になった。
「どんな具合ですか?」〜患者よりも目の前の端末だけを見て、話をする電カル(電子カルテ)ドクターが今は多い現実がある。
病気は何か、どんな治療法があるか、そういう情報が重視されがちだけど、でも大事なのはそれだけじゃない。
患者も医者も生身の人間、心がある。
そこまで含んで医療だと思う。
家族から一言病院に伝えておく。
そういうひと手間をするかしないかで、受ける医療の質が変わってくる。
そんなことまで患者側が気を遣わなくてもお医者さんがそこまで配慮してくれるべき、という考えもあるだろう。
私もそれは否定しないけれど、人によって感じ方の強さが違う。
Aさんという患者にとってなんでもないことが、Bさんという患者にとっては大衝撃ということだってある。
医師だって、かなり気をつけて話したつもりでもぶっきらぼうな人がいたり、元々優しそうな人がいたり。
だから、患者側のひと手間を私はお勧めする。
さらに付け加えるならば、私の場合はお医者さんの話を聞く時に録音をとらせてもらうことも欠かさない。
人は話を聞く時に、印象的なことだけを記憶する傾向があるから。
改めて聞き直して発見することが多いのも付記しておく。
医学は進歩し、進んだ治療が受けられる今の時代。
患者本人や家族がもうひと手間かけて医療の場に臨みさえすれば、
医術だけでなき心ある医療が受けられる時代とも言えるのだと思う。
経済格差だけじゃない。
患者本人や家族がもうひと手間かけて医療の場に臨みさえすれば、
医術だけでなき心ある医療が受けられる時代とも言えるのだと思う。
経済格差だけじゃない。
心を尽くす、手間をかける価値は、こんなところにも影響してくるのだ。
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