2015年2月24日

過去をふり返ると、背景は意外に今につながっている

大学受験を目の前にした高校3年の頃のことだ。

当時、劣等生だった私は迫り来る大学受験に絶望していた。
どうせ・・・、今さら・・・
努力もしないくせに、成績がいい同級生を羨んでいた。
かと言って、自分が興味のないことはやる気にもなれず、進路に悶々としていた。

その中で、私が興味を持っていたのは生物だった。
ニホンザルが好きだったのだ。
ボスがいて群れ社会があるニホンザルの世界。
さらに食う食われるの生態系、野生動物の世界。
ニホンザルを学ぶなら京都大学だけど、そんな力はなかった。

進路は、動物学か動物学に近い線で
・・・そう考えていた私に、生物の先生だった担任が勧めたのは
栄養学の単科大学だった。
その大学には、動物学ではちょっと有名な個性的な教授がいたのだ。

しかも栄養学だったら、卒業後に仕事をする時にオトコに負けにくいと言う。
動物学や獣医学の場合、仕事では体力が求められるからいい就職先は男性にとられてしまいがちで競争は厳しい、と。
例えオトコ社会でも独自性を生かしやすいと言う。
今の言葉で言えば、ブルーオーシャンだ。
さらに、もし仕事をしなくても、学んだことをいろんな形で生かしやすいだろうと。

私は食いしん坊ではあったけれど、栄養学なんて興味なかった。
花嫁修行のように思えて、気が進まなかった。
だけど、結果的には他の大学とのご縁がなく、
担任の先生が勧めた大学に行くことになった。

行ってみたら、担任の先生が教えてくれた動物学教授の授業はとても面白かった。
興味がなかった栄養学もだんだん面白くなってきた。
そして、卒業後は料理番組の企画制作担当として、広告代理店に就職することに。
かつての劣等生も、オトコ社会の職場では栄養学を学んだ専門家として見られ、
私もそれに応えようと一生懸命働いた。

女子大生がもてはやされながらも良妻賢母を求められていた時代に、
その先生は、女性のキャリアという視点を加味して進路指導してくれたことになる。
今ならそう珍しくないだろうが、
そのおかげでうじうじした劣等生の私が前を向けるようになったのだと思う。

若い頃は、自分がどんな仕事をしたいかなど、わからない。
まだ適性も定まっていない。
でも、興味があることを追いかけ、人の声に耳を傾けていくと、
なんとなく収まるところに収まっていくのかもしれない。
たまたま担任は生物の先生だったので、
私の思考(志向)がより理解しやすかったという幸運にも恵まれたのだろう。

昔のことをふり返ってみると、
今、私が人の生き方や生きざまに興味を持っていることが、
当時ニホンザルに興味を持った時の気持ちの背景に通じるものがあるように感じている。

それは、周囲との関係性とか関わりとか。

私が今、エンディングノートに注目するのは、
エンディングノートが周りとの関係性を確認するツールとして有効だから。
一般によく言われる相続とか、葬儀を考えるために
エンディングノートと言っているのとは少し違う。

例えば、自分にとって大事なこと、大事な人・・・。

やりたいこと、伝えたいことというのは、
死ぬまでにやっておきたいこと、伝えておきたいこと。
それらはベースに人間関係があり、その関係性を自分はどうしたいのか
ということに深くつながる。

エンディングノートを使うと、
軽視しがちな人間関係、周りとの関係性を確認しやすい。
気づかされる。